組織の分散

細胞分散用酵素(コラゲナーゼ, リベラーゼ)

概要

組織分散と細胞ハーベスト(サブカルチャー)は細胞生物学における2つの代表的な酵素学的原理に基きます.プロテアーゼは組織の細胞外マトリクスを溶解させるために必要な酵素で,この酵素処理によって個々の細胞を培養(primary cell culture)のために放出させたり,すでに培養されている細胞を収穫(harvest)して新しい基質(secondary cell culture)へと移行させることが可能になります.

組織分散や細胞ハーベストの方法は,通常3種類のカテゴリーに分類されます.機械的な方法(切る,ふるいにかける,粘着細胞をゴムで引っ掻くなど),化学的な方法(一般的には二価のカチオンを欠落させる;キレート剤を添加する場合としない場合とがある),そして酵素による方法(コラゲナーゼ,ディスパーゼ,トリプシン,エラスターゼ,パパイン,プロナーゼ(非特異プロテアーゼ),ヒアルロニダーゼ等による分解)です.

ほとんどの方法は,先に述べた3つのカテゴリーのうち2種類または3種類を組合わせた技術を利用します.技術の選択は使用する組織の性質や量,培養法,引用文献の記載などに依存します.

リベラーゼ 精製酵素ブレンド

ロシュ・ダイアグノスティックスはリベラーゼ精製酵素ブレンドの開発により,組織分散酵素に新しいスタンダードをもたらしました.これらの酵素ブレンドはバクテリアの培養上澄から分離され,同定された主要酵素から発展しており,それぞれの組織分散を担います.これらの製品は従来の酵素に比べ多くの利点を持っています.

ロット検定の必要が無い
一定の製品であり,高度精製酵素調製品を毎回ブレンドする事により製造しているので,酵素活性変動が少なくなっています.
生物学的夾雑物の導入が最小限となる
厳密な酵素精製により,バクテリア培養副産物や他の酵素,DNAが除去され,製品内のエンドトキシンレベルが減少しています.
細胞の活力,収量,機能の増加
至適酵素組成の開発により,細胞の収量や機能の改善,細胞活性の増加が行われます.

クルード分散用酵素

クルードで力価の高いタンパク質分解酵素が細胞の採取や組織の分散に30年以上にわたり使用されてきました.これらの酵素調製品は天然の起源(バクテリアの培養上澄,動物器官,植物)よりの部分精製酵素より製造されています.ほとんどの市販コラゲナーゼ調製品は色調により証明されるとおり多種の酵素活性や副産物を持ちます.ロシュ・ダイアグノスティックスはこれらの応用に用いられる,広範囲のタンパク質分解酵素を販売しています.

プロテアーゼインヒビター

ロシュ・ダイアグノスティックスは大豆や卵白由来のトリプシンインヒビターとウシ肺臓由来のアプロチニンを販売しています.トリプシンインヒビターはトリプシンを特異的に阻害するのに対し,アプロチニンはすべてではありませんが,多くのセリンプロテアーゼを阻害します.

www.collagenase.com

ロシュ・ダイアグノスティックスの細胞分散用製品の完全なリスト,アプリケーションなどの情報はウェブサイト,www.collagenase.comでご覧ください.

リベラーゼ精製酵素ブレンド製品

各リベラーゼ精製酵素ブレンド製品は,それぞれの特殊な細胞タイプの分離におけるエキスパートの化学者たちとの共同の下,開発されました.この共同開発により,ロシュ・ダイアグノスティックスは細胞の分離において,他のクルードな酵素に比べ高収量,高生存率,細胞機能の改善をもたらす至適化された製品を開発する事が出来ました.更なる情報(能書,最新組織分散プロトコール,文献など)は,ロシュ・ダイアグノスティックスのホームページをご覧ください(www.collagenase.com).

参考文献:

  1. Bashor. M.M., Dispersion and disruption of tissues. Methods Enzymology,. 58:119-131 (1979).
  2. Pollard, J.W. and Walker, J.M., eds., Animal Cell Culture, Humana Press, Clifton N.J., 713 pp., (1984).
  3. Freshney, R.I., Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, Third Edition, Wiley-Liss, Inc. New York, N.Y., 486 pp., (1994).
  4. Ricordi, C., Methods in Cell Transplantation, R.G. Landes, Austin, Texas, 746 pp, (1995).
  5. Hatton, M.W.C., Berry, L.R., Krestynski, F., et al., Eur. J. Biochem. 137:311, (1983).

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