SeqCap RNA 技術概要

SeqCap RNA (シークキャップ アールエヌエー)システムは、次世代シークエンサーを用いてトランスクリプトーム解析を実施するためのターゲットエンリッチメント試薬システムです。最適なアルゴリズムで設計されたプローブ混合溶液である SeqCap RNA Enrichment Kit と、専用試薬キットと組み合わせて実験を行います。

■ SeqCap RNA システムの特徴
■ SeqCap RNA 実験 ワークフロー
■ SeqCap RNA 製品ラインナップ
■ SeqCap RNA 実験ワークフローと試薬について
■ SeqCap RNA ユーザーズガイド(プロトコール)
■ オートメーションシステムによるサンプル調製とキャプチャー

 

 

 

■ SeqCap RNA システム の特徴

  • 定量性を維持したまま研究対象の転写産物を特異的にエンリッチ:
      SeqCap RNA プローブは、ゲノム上のターゲット領域(遺伝子または転写産物)に対して設計、合成されます。ハイブリダイゼーションにより、ターゲットの転写産物を選択的にエンリッチメントします。ERCC(External RNA Controls Consortium)スパイクインコントロールを用いた実験により、このエンリッチメント工程を加えても転写産物の定量性が維持されることが示されています。
      ERCCコントロールによるSeqCap RNAパフォーマンス
      ▲ERCCコントロールを用いたパフォーマンスの検証
      SeqCap RNA には ERCC コントロール用のプローブを予め添加されていますので、ターゲット転写産物と共にスパイクした ERCC もキャプチャーされます。上図では、RNA-Seq の 142.8M リード(A)、SeqCap RNA Choice Enrichment Kit (ターゲット領域サイズは 1.8Mb 領域)の 2.8M リード(B)のデータから、それぞれ total RNA にスパイクした ERCC コントロールの各 FPKM 値(fragments per kilobase of exon per million fragments mapped)を既知濃度へプロットしています。各 ERCC の濃度と FPKM 値は良く相関しており、エンリッチメント工程を加えても転写産物の量比が維持されることが示唆されました。
  • シークエンスリードの浪費を抑え、プレプール法を活用することで解析コストを飛躍的に削減:
      標準的な RNA シークエンシング(RNA-Seq)では大多数のリードが少数の遺伝子サブセットに由来してしまうという根本的な問題点がありますが、SeqCap RNA によりシークエンシングデータを特定の遺伝子群にフォーカスさせることで、ターゲット領域に対するカバレージを向上させることができます。また、SeqCap RNA はプレプール法に対応していますので、より多くのサンプルを処理したり、データをより迅速に得たりすることが可能です。
      ▲RNA-Seqでの問題
      ▲RNA-Seq での問題
      上図では、RNA-Seq での根本的な問題を模式図で示しています。約 1% の高発現遺伝子が転写産物全体の約7割のシークエンスリードを「浪費」してしまう 一方、50% を超える遺伝子の転写産物は発現量が非常に少ないことから、シークエンスリードが得られにくくなります。こうした低発現遺伝子の検出感度はシークエンシングデータ量に依存してしまいます。
  • 網羅的 lncRNA をターゲットとしたカタログ品と、フォーカス研究に応用できるカスタム品の両方を提供:
      カタログ品である SeqCap lncRNA は 32,808 種類の lncRNA と転写産物アイソフォーム候補の転写産物を選択的に抽出・濃縮するための試薬です。その他のフォーカス研究やヒト以外の生物種での研究に活用できるカスタム品もご利用いただけます。
      ▲幅広い研究分野へ
      ▲幅広い研究分野へ
      発現プロファイリング、スプライシングアイソフォーム、トランスクリプト SNV 、融合遺伝子などの発見やキャラクタリゼーションを、最大 200Mb までの幅広い生物種で実施できることから、様々な研究分野に応用できます。

 

ページトップへ

 

■ SeqCap RNA 実験ワークフロー

・ 幅広い RNA インプット量に対応:
       最少 10ng の total RNA を使用した場合でも転写産物存在量の直線性を維持

・ 正確なストランド情報:
       ストランド特異的な cDNA ライブラリ調製により達成

・ rRNA 除去ステップが不要:
       rRNA 除去に掛かるコストと時間を削減

・ プレプール法に対応:
       検体あたりのコストを減少させ、操作性を向上

・ チャレンジングなターゲットにも:
       GC リッチ領域や存在量が少ない転写産物の検出にも

・ パフォーマンス確認用コントロール:
       全ての SeqCap RNA に ERCC コントロール用のプローブを予め添加

 

SeqCap RNA 実験ワークフロー
  1. SeqCap RNA プローブはゲノム内のターゲット領域に対して設計、合成されます。
  2. 熱処理により断片化した total RNA からランダムプライマーで 1st strand cDNA を合成します。
    2nd strand の合成の際に dUTP を取り込ませて dscDNA を調製します。
    dscDNA の両端にシークエンシング用アダプターを結合させます。
  3. 1st strand 側からのみ増幅されます。
  4. SeqCap RNA とハイブリダイズさせます。SeqCap RNA はターゲット領域特異的な配列のビオチン化オリゴヌクレオチドプローブのプール溶液です。
  5. ストレプトアビジンビーズを用いて、SeqCap RNA と cDNA ライブラリの複合体分子を回収します。
  6. 結合しなかった cDNA ライブラリを洗浄除去します。
  7. キャプチャーされた断片プールを PCR で増幅します。
  8. 各種シークエンサーのワークフローに従い実施します。

 

ページトップへ

 

■ 製品ラインナップ

カタログ SeqCap RNA Enrichment Kit

SeqCap lncRNA Enrichment Kit (シークキャップ リンク RNA エンリッチメントキット)
ヒトの網羅的 lncRNA のエンリッチメント用

カスタム SeqCap RNA Enrichment Kit

SeqCap RNA Choice Library: (シークキャップ RNA チョイス ライブラリ)
7Mb までヒトターゲットエンリッチメント用

SeqCap RNA Choice XL Library: (シークキャップ RNA チョイス XL ライブラリ)
7~100Mb ヒトターゲットエンリッチメント用

SeqCap RNA Developer Library: (シークキャップ RNA ディベロッパー ライブラリ)
200Mb まで のターゲットエンリッチメント用

 

ページトップへ

 

■ SeqCap RNA 実験ワークフローと試薬について

SeqCap RNA システムの実験プロトコールは、ロシュから販売する下記のキットを用いて Illumina 社のシークエンサーでシークエンシングする方法として提供されています。そのワークフローは「ライブラリ調製」と「ハイブリダイゼーション」の 2 工程に大別することができます。

  • ライブラリ調製の工程
      「ライブラリ調製」の段階では、それぞれの検体別に操作しますので、検体数分の反応数が必要です。この工程には、KAPA Stranded RNA-Seq Library Preparation Kit と SeqCap Adapter Kit を使用します。
      ライブラリ調製用試薬
  • ハイブリダイゼーションの工程
      「ハイブリダイゼーション」の段階では、各種の SeqCap RNA Enrichment Kit と SeqCap EZ Reagent Kit Plus を使用します。SeqCap EZ システムと同様、SeqCap RNA システムはプレプール法に対応しております。それぞれ異なるインデックスを付加させた複数のライブラリを等量ずつ混合(プール)して 1 回のハイブリダイゼーションでキャプチャーを実施することができます。
      SeqCap RNA関連試薬
      個別キットおよびオプショナル試薬
SeqCap RNA システム 実験ワークフローの工程と試薬の準備
▲SeqCap RNA システム 実験ワークフローの工程と試薬の準備

ページトップへ